Monthly Archives: January 2009

カナダ人が選んだベストカー

11日にデトロイトで北米国際モーターショーが開幕した。2009年の乗用車部門で韓国の現代自動車のジェネシスがカナダ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。現代自動車の受賞は今回が初めてとのこと。

話は少し古くなるが、2009年のカナダ・カー・オブ・ザ・イヤーが昨年の10月に決定した。ビッグ3の経営危機が毎日のように報じられている中、ノミネートさた車やどの車がベストカーに選ばれたか非常に興味深い。The Automobile Jurnalists Association of Canada(AJAC) が選んだがベストカーと、業界紙に掲載された読者のコメントを少し紹介したい。(匿名でコメントを投稿した皆さん、勝手に翻訳してごめんなさい!) ちなみに現代自のジェネシスが高級車の$50K以下部門でベストカーに選ばれた。

小型車($18k以下)

ベストカー:トヨタカローラ

ノミネート車:シボレー アビオ、スマート フォーツー、 トヨタカローラ

小型車($18k以上)

ベストカー:ポンティアックバイブ

ノミネート車:ホンダフィット、トヨタマトリックス、 ポンティアックバイブ

ファミリー車($22k-$30k)

ベストカー:マツダ6

ノミネート車:シボレーマリブハイブリット、

フォルクスワーゲンジェッタTDIクリーンディーゼル, ワゴン、マツダ6

ファミリー車($30k以上)

ベストカー:フォルクスワーゲンパサートCC

ノミネート車:日産マキシマ、ポンティアックG8 (V6)、フォルクスワーゲンパサートCC

高級車($50k以下)

ベストカー:現代ジェネシス

ノミネート車:アウディA3、現代ジェネシス、インフィニティ G37X セダン

高級車($50k以上)

ベストカー:アウディA4

ノミネート車:アキュラRL アウディA4、リンカーンMKS

プレステージ車

ベストカー:(引き分け):メルセデスCL550 4Matic

メスセデス SL63 AMG

ノミネート車:BMW X6、メルセデスCL550 4Matic、 メスセデス SL63 AMG

スポーツ・パフォーマンス($50k以下)

ベストカー:BMW 135i クーペ

ノミネート車:BMW 135i クーペ, 三菱ランサーエボルーション、スバル WRX STI

スポーツ・パフォーマンス($50k以上)

ベストカー:レクサスIS F

ノミネート車:BMW M3 クーペ、レクサス IS F、 メルセデスベンツ C-Class

オープンカー

ベストカー:アウディTTS

ノミネート車:アウディTTS, メルセデスベンツSLK-Class, 三菱エクリプススパイダー

SUV / CUV ($35k以下)

ベストカー: スバルフォレスター

ノミネート車: ダッジ ジャーニー、スバルフォレスター、 フォルクスワーゲンティグアン

SUV / CUV ($35k-$60k)

ベストカー: フォード フレックス

ノミネート車: シボレートラバース、フォードフレックス、 日産ムラーノ

SUV / CUV ($60k以上)

ベストカー: メルセデスベンツ-Class (BlueTEC)

ノミネート車: インフィニティFX50, レクサスLX 570, メルセデスベンツ M-Class   (BlueTEC)

ピックアップトラック

ベストカー: ダッジラム

ノミネート車: ダッジラム、フォード F150


————読者のコメント————————-

コブラさん:カナダ製の車はどうしたんだい?みんな外国製のジャンクじゃないか。

PSさんLuxus IS-FM3より上だって???????????? 勘弁してよ~。どちらも運転したことあるけど、.Lexusじゃ(M3)相手にならないよ。

Kさん:こんなの八百長だ! Big Threeの車が多すぎる!これは最初から仕組まれていたんだ!

ディアンさん:まったくコブラさんとPSさんのおっしゃるとおり。Chrysler 300Mを運転しているからわかるんだけど、この車は$50,000 以下のカテゴリーではベストだね。気まぐれなカナダ人が外国車を買うのを止めたら、カナダの自動車業界もずいぶん良くなるのに。。愛国心のあふれるカナダ人はカナダ経済を良くするためにカナダ製を買おう!!

スタンプさん:コブラさん、カナダの自動車メーカーの名前がなかなか思いつかなくて困ってるんだけど、ちょっと助けてくれる?それとも、アメリカのメーカーでカナダに工場をもっているってこと?

GMさん:マリブとポンティアックがどうしてファミリー車部門の最終候補に残ったのか、誰か説明していくれない? アコード、カムリ、プリウスはどこに行ったの?

ホンダスさんGMさんの意見、私も同感だね。アコードやカムリはどこなんだい?車全体の品質、中古で売るときの価格、燃費、パフォーマンスと見ると、アメリカ車は日本車に歯が立たないね。みんな、目を覚まして、酒でも飲もうよ。

フルーさんAJACによるベストカー選出について誤解があるようだ。新車として量産された車が、翌年のモデルとして大幅に設計デザインが変更された車がノミネートされるんだ。だから、Ferrai Lamboはパフォーマンスのカテゴリーに入っていなし、人気のあるや前年モデルのプリウス、アコード、300M2009年の「新車」として扱われることはない。そういう意味ではAJACのカー・オブ・ザ・イヤーはいくぶん誤解を招く恐れがある。ある特定のセグメントで顧客が購入するベスト車が、各カテゴリーでベストカーを受賞した車とは限らない。

アイアコッカのジョークとティノさん

私がミシガンに住んでいたときに乗っていたのがジープチェロキーだった。ジープはアメリカンモータースのブランドである。クライスラーが1987年に買収したが、ジープブランドは生き残り、現在に至っている。このアメリカンモータースがPlymouth Rdに本社を構えていたが、クライスラーが買収した後もエンジニアのオフィスとして使っていた。

ティノさんはこのPlymouth Rdのオフィスでプロセスエンジニアとして働いていた。クライスラーのエンジニアと日本人エンジニアの通訳者として働いていた私は勉強のために、クライスラーに関する本を読むことにした。「アイアコッカ―わが闘魂の経営」や「Behind the Wheel at Chrysler」などなど。

「アイアコッカわが闘争の経営」の中でアイアコッカ自身が、小学校で流行っているというジョークを紹介していた。小学校3年の歴史の時間。先生のすべての質問に答えたのは日本人の女の子だった。先生は、日本人が質問に答えれれてアメリカ人のあなたたちが答えられないの、と呆れはてる。教室の後ろにいた生徒が思わず、「くたばれ、日本人!」「誰ですか。そんなこと言ったのは?」先生がピシャリと言い返す。そして、女の子。「1982年、リー・アイアコッカ!」

こんなにおもしろいジョーク、クライスラーの人は知っているのだろうか。さっそくティノさんにそのジョークの話をした。にこにこしながら聞いてくれたティノさん。このジョークをきっかけにティノさんと私の交友が始まった。

ティノさんはエンジニアとしての安定した職についていたが、クライスラーに来る前は、何度か転職を経験していた。クライスラーで働きたかった理由はただひとつ。安定した仕事がしたかったから。「もう、仕事を変えるのはいやだ。僕の兄弟はみんないい仕事についているけど、僕は落ちこぼれだよ」と笑いながら話してくれた。

今、クライスラーは存続の危機の直面している。アメリカ財務省はビッグ3に174億ドル(15500億円)の緊急融資を決定した。任期の最後にブッシュ大統領が融資を決めたのは、ケチな大統領と思われたくなかったからなのか。緊急融資ですべてが解決した訳ではないが、どのみちビッグ3の問題は、もうすぐ「ブッシュが取り組む問題」ではなくなる。あとはオバマ政権にお任せである。

今頃ティノさんはどうしているのだろう。無事に新年を迎えることができたのだろうか。ビッグ3への公的資金投入には賛成しがたいが、ティノさんのニコニコ顔が頭をよぎる。