Daily Archives: 2010年8月24日

大相撲のスキャンダルとブルガリアの問題

大相撲の賭博事件に関する記事が少なくなり、報道が落ち着いてのかと思っていた。が、元大関琴光喜関を恐喝した容疑者が再逮捕され、これから力士の関与を操作するなど、事件の解明までには時間がかかりそうな気配である。

賭博事件は、カナダのThe Globe & Mail タイムで取り上げられ、海外でも関心の高いことがわかる。

朝青龍の暴行事件に続く今回の賭博事件はショッキングだが、ブルガリアでもとんでもない事件が。ブルガリア相撲連盟会長がお金を受け取り殺人を請け負っていた容疑で逮捕された。逮捕されたのは琴欧洲とも親しい間柄と報道されているペタル・ストヤノフ氏である。

日本の大相撲もブルガリアの相撲連盟もスキャンダルにまみれている。ブルガリアは琴欧洲の人気やヨーグルトで良いイメージを持つ日本人が多いと思う。実際私もその一人だった。でもブルガリアはヨーグルトだけがすべてではない。

ブルガリアはルーマニアと共に2007年にEUのメンバーになったが、両国とも司法の改革、組織犯罪や汚職の撲滅など大きな課題が課せられていた。これらの問題が解決しない限りブルガリア国民はEU市民として与えられた権利を享受することはできないという理念のもと、このブルガリア(及びルーマニア)に対し、問題を解決するための枠組みが決められた。

EU加盟から3年。なかなか改善されない状況に対処するため、オランダがブルガリアに対してセーフガードを行使することを提言した。欧州委員会は特別セーフガードを行使する権利を持っている。しかし、フランスを含む他のメンバー国から、反対論が出た。最近メンバーになったばかりの国を落第者のように非難することに対しては慎重にすべきだ。

もしセーフガードが行使されれば、欧州委員会はブルガリア国内で出された裁判所の判決を認めず、EUの援助金も凍結されてしまう。ひいてはブルガリアの評判が大きくそこなわれることになる。

どこの国でも汚職や組織犯罪はある。しかし、ブルガリアの汚職や組織犯罪の問題は他のEU諸国に較べるとまだまだ解決にほど遠い。EUのメンバー国になるのが早すぎたのか。ペタル・ストヤノフ氏の逮捕はブルガリアが抱える問題の根の深さを表している。そして、共産主義体制が終焉してから、優秀な人材の頭脳流出が続いている

日本人にとってはヨーグルトのブルガリア。琴欧洲のブルガリア。バラの国、ブルガリアである。産業も経済も他のEU諸国に肩を並べるくらいに発展してほしいと願わずにはいられない。