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オンタリオeHealthスキャンダル討論 オンタリオ保健省 vs 納税者   

毎月1度開かれる日加協会主催のムービーナイトは気分転換にうってつけのイベントである。映画を見終わった後に近くのレストランに繰り出しての二次会も楽しみである。飲みながら食べながらいろいろな話題で盛り上がる。この二次会は新規参加者もいるので、いろいろ面白い話が聞けるのである。

先月もいつものように映画を見てから恒例の二次会へと向かった。久しぶりに山盛りのフランチフライを食べて満足だった。時間がだいぶ経ち、ちらほらと帰る人も出始めた頃に私の斜め前に座っていた男性と話をはじめた。彼はオンタリオ州保健省に勤めているというまじめそうな人だった。オンタリオ州保健省と聞けば即座に思い浮かぶのが昨年大問題になったイーヘルススキャンダルである。

2008年、オンタリオ州は電子カルテシステムを構築するため、eHealth Ontarioを発足させた。電子カルテシステムはいくつかの州ですでに導入されおりオンタリオ州も導入を決定した。これによりカルテの管理が効率化されかなりのコスト削減が達成できるはずだった。この電子カルテシステムに投入された税金はおよそ10億ドル(カナダ)。ところがふたを開けてみると10億ドルに値する成果はほとんどなし。eHealth OntarioのCEOだったセラ・クレイマーは、在職わずか10ヶ月で辞任してしまった。

2009年6月にオンタリオ州監査長官が記者会見で前代未聞の無駄使いを発表すると新聞もテレビもこのニュースを大きく取り上げた。犯罪者は刑務所へ行くべきだ。裁判所に訴えて彼女の給料とボーナスを取り戻すべき! オンタリオ州民は怒り心頭に発し、新聞やインターネットにさまざまな意見を寄せたのである。

オンタリオ州民が怒り狂うのは当然である。入札なしの随意契約で、セラ・クレーマーの友人や自由党に近いコンサルタント会社に業務を発注。契約を交わしたコンサルタント会社の社員は新聞を読む時間、電車の中での会話やランチの時間、イーヘルス関連のテレビ番組を見る時間も請求したのである。その上、コーヒーとマフィン代として1日2千700ドル。無神経なセラ・クレーマーは、不景気という理由で職員のボーナスがカットされたにもかかわらず自分のオフィスを5万ドルもかけて改装したのである。あいた口がふさがらない。そして、CEOとしての10ヶ月分のサラリー31万7千ドルとボーナス11万4千ドルが彼女に支払われたのである。

話しを“オンタリオ州保健省”さんに戻そう。彼はセラ・クレーマーのすべて(CEOとしての仕事と給料)、税金の使われ方すべてを100%正しいと言い放ったのである。そして5万ドルかけて自分のオフィスを改築したことも「以前は民間で働いていたからそのメンタリティーがのこっているんだよ」と無駄使いを弁護する始末。思わずのけぞってしまった。

もはやオンタリオ州保健省さんと会話が成り立つ状態ではなかった。が、私は自分の気持ちを抑えることができずに、一気に喋りまくった。まじめに働いてしっかりと納税をしている私としては、このイーヘルススキャンダルはまったく問題ではない、という人を受け入れることはできない。また何も言わずにそうですか、と済ます訳にはいかなかった。

帰るときに彼に、「また日加協会のイベントに来てくださいね。私はあなたの敵ではありませんから」と言ってニコッと笑った。

オンタリオ州保健省さんはまたイベントに来るのだろうか。私にってはどうでもいい。言いたいことを言ったのですっきりした思いで帰宅した。

EHealth Scandal a $1B waste

This is just disgusting…